精子が卵子にたどり着くことを受精といいます。
受精が成立しても、母体に妊娠の兆候を示す特別な妊娠初期症状はありません。
膣内に射精された精子は、子宮そして卵管に向けて泳いでいきます。1回に放出される精子の数は通常1億から3億匹。しかし、膣内は細菌の侵入などを防ぐために弱酸性に保たれているので、ほぼタンパク質でできている精子のほとんどはやられてしまいます。
ただし排卵日が近づくと、精子が膣から子宮へと通過しやすい環境も用意されます。鍵を握っているのは、卵胞が成長している間に分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)がつくりだす、頚管粘液とよばれる透明な粘液。頚管粘液は、排卵日前後にもっとも多く分泌されますのですが、成分が弱アルカリ性なので、いわばバリアとなって精子を守りながら、膣から子宮に精子が侵入するための手助けをします。
また卵胞ホルモンは、子宮内膜を分厚くする準備も始めます。
サバイバル競争を勝ち抜いて子宮を通過した精子は、卵子が待つ卵管膨大部に達します。卵子の近くまでたどり着ける精子は数百匹程度です。しかし卵子は分厚い細胞膜に覆われているので、精子は一緒にたどりついた他の精子とともにこの膜を突破しようとがんばります。そして卵子の外側の細胞膜を破って最初に卵子の中に入り込んだ、たった一匹の精子が卵子と出会うことで、受精が完了します。
受精までの時間
膣内の精子は平均で3日間、長くて5日間ほど生きています。それに比べて、排卵された卵子は、たった24時間程度しか生きられないと言われています。つまり、受精とは、排卵から約24時間以内の卵子に、3日から5日の寿命を持つ精子がたどりつくことで初めて成立する出来事なのです。