つかの間の幸せからどん底 夜の世界へ復帰、そして離婚へ
大好きな旦那と赤ちゃんがいる生活に幸せを感じていたももえりだったが、金銭的に余裕がなかったため、ルキアくんが生後1ヵ月ほどでネイリストとして復帰。働かなければ生活が回らない状態だった。ジリ貧の中で45円の豆腐がメインディッシュになることや、インスタントラーメンの4分の1が自分の一日の食事ということも…。人生でどん底の時期だった。
そんな中でも、「彼のごはんやお弁当だけはちゃんとしたものを作りたい」と、良妻ぶりを見せていたももえりだったが、光熱費の滞納、旦那が働きに行っているように見せかけてパチンコに行っていたこと、ももえりが作った弁当を捨てていたこと…、それらすべてを友人・知人から聞かされることに。そんなとき、働いていたネイル店でもトラブルが起こる。いろんなショックが重なりつつも、お金がないという目の前の現実。そこに立ち向かうにはキャバ嬢への復帰しかなかった。
結婚により引退した世界へ復帰するバツの悪さもあったが、20歳前に軽いノリではじめたときとは背負っているものの重さが違った。復帰と同時に離婚も決意。旦那の暴力被害に遭いながらもなんとか離婚を成立させ、ルキアくんと幸せに暮らすためシンママ(シングルマザー)キャバ嬢として新たなスタートをきったのである。
しかし、色恋のある夜の世界で、ももえりは子どもがいることも包み隠さず接客した。お客さんの興味をより惹くため、なるべくネックになるようなことは話さないというのが常識の世界だが、ももえりにとっては自分の宝であるわが子の存在を隠す方がよっぽど嫌なことだったのである。「ルキアのために働いているのに、なぜ隠さないといけないの?」。同情してもらうために積極的に子どものことをアピールするなんてことはもちろんせず、お客さんの携帯待ち受けに子どもの写真を発見したり、会話の流れで子どもの話が出れば、その話題で盛り上がることもあった。
「復帰してからは心と心が通じる接客ができるようになった」と、ももえりが語るように、妊娠・結婚・出産・離婚を経て、人として成長。相手を思いやる気持ちがより強くなり、それが接客にも反映、子どもがいるにも関わらずナンバー1をキープし続けた。